“油圧制御のルネッサンス”をテーマに掲げて開発した油圧テーブル

 高精度油圧テーブル KTシリーズ

[1]はじめに

 『油圧制御のルネッサンス』をテーマに掲げて、メカトロ新時代にデジタル油圧サーボコントロールの展開を図っている当社が、従来の油圧駆動テーブルの概念を一新するXYテーブルをシステムを開発しました。

 これは既に特許を申請した新考案のユニークな油圧駆動XYテーブルのハードウェアとそれを意のままに動かすマイコン制御の高性能コントローラとのマッチングにより、従来の油圧方式、電動方式のXYテーブルの機能と比較して、多くの特徴を持っています。
[2]XYテーブルのハードの特徴
(1)フルクローズドループサーボ
移動テーブルとサーボアクチュエータが直結し、テーブル位置そのものをフィードバックして位置制御されるため、各種の機械的誤差を排除することができます。
これに対し、従来電動サーボ位置決めの制御は、移動テーブルではなくモータ軸又はボールネジ軸に設けられたロータリーエンコーダ等で行うため、ボールネジ・ナット間の遊びやボールネジの保持バネなどのバネ性等の要因で実際のテーブル位置との間にズレを生じます。
(2)高剛性構造・扁平・小型・軽量
面積差のない両ロッド構造のサーボアクチュエータが可動テーブルに直結されています。X軸テーブルはY軸シリンダと共に一体化され、外観上は配管もXYアクチュエータもみえない。平面構造なので横方向の負荷に対し、回転モーメントの発生を防止しています。

これによりボールネジ方式のXYテーブルとほぼ同一サイズで一桁上の推力を発生し、同レベルの精度が可能となります。
(3)配管はシンプルにP・Tポートのみ
XYテーブルと油圧源との接続はテーブルのP・Tポートにホースを2本接続するだけでOK。XY駆動用の2台のサーボバルブはベースと一体のマニホールドブロックに取り付けられているので、油圧的剛性も高いのが特徴の一つです。

またプレッシャヘッドも上述のマニホールドブロックに取付可能です。
(4)フィードバックセンサも熱的に独立
内蔵される位置センサの取付位置は、一番油温の影響を受けやすいシリンダ部ではなくテーブルに直付けされ、光学センサ(ガラススケール)の温度安定性と共に1μm程度のフルクローズドループ制御の精度向上に役立っています。
(5)多様な案内構造
リニアガイドは用途により幅広く選択可能で、たとえばポイント・ツー・ポイントのみならメタルブッシュのみも考えられます。もちろん用途にあったリニアガイドの使用はさらによい結果を生みます。
2005年のIFPEXで参考出展いたしました
■KT-201の仕様
ストローク⇒X軸180mm-Y軸120mm
制御分解能⇒1μm(XY共)
シリンダ径⇒φ40(XY共)
サーボバルブ⇒ノズルフラッパ型30L/min
 140kg/cm2時は2台
サイズ・重量⇒W600xD300xH120(mm) 12kg


出展に際してコントローラには、当社取扱の米国ガリルモーションコントローラを使用しました。
[3]XYモーションコントローラの特徴
(1)簡便な命令語セット
トレーニングもほとんど不要なわかりやすい言語体系で、初めてでもすぐ意のままに動かせます。
(2)自由度の大きなソフトウェア・フィルタ
動作中でもリアルタイムに変化させることのできるデジタル・フィルタは、比例ゲイン、ゼロ(零周波数)、ポール(極周波数)、偏差エラー積分補償定数、指令値変化フィールドフォワード量などをいつでも、またはプログラムの中で自由に設定することができます。これにより常に系を最適化することができ、この最適化のソフトウェアがノウハウとしてユーザの蓄積財産となります。
(3)高速演算速度(1mS)
本システムのサンプル演算時間は1mS(最短)です。つまり1mS毎に位置を読み取り、位置指令に対する偏差を算出し、補償演算を行い、制御出力信号を変化させることとなります。デジタル出力信号は20KHzの8bit分解能のPWM信号であり、本機はアナログ積分により+10Vにして用いています。
(4)ショックレス
位置信号から速度・加速度信号を作り制御に用いており、命令側の移動距離の速度プロファイル(一定加速度制御)に基づきドループのほとんど生じない高ゲイン制御が行われるため、オーバーシュートのないショックレス制御を行うことができます。また停止時にゲインを増加させる(積分項を用いることができる)ことにより、偏差を著しく小さく減少させることも可能となりました。

コントローラとしての速度設定範囲は2μm/S〜500mm/S、加速度設定範囲は1mm/S2〜8m/S2までと大変広いダイナミックレンジを有します。いずれも1μm分解能のリニアスケール使用時です。
(5)補間機能-円弧・直線
本テーブルはX-Y軸間で直線及び円弧補間機能を有しています。直線補間はPTPにおいて加速度・速度が完全にベクトル補間されます。

円弧補間機能はX-Yテーブル上で完全な極座標設定ができ、半径、スタート地点位相角度、回転方向・角度にてXYテーブル移動が定義できます。

ベクトル速度・加速度は円弧(直線補間連続で有効で、周速一定)可変が自在です。ループゲインの高さとの相乗作用で、本XYテーブルにおいては移動方向反転時のトレースのふくらみ、近道等はほとんど見られません。
(6)変数機能
本システムは各種パラメータ設定に「変数」を64ヶ用いることができ、これらは定数、位置、速度、偏差や文字で定義され四則演算することが可能です。
(7)通信機能
指令は(1)に述べたように、よく整理された英字2字を原則とする命令語セットとデータ(デシマル/ヘキサデシマル選択可能)とで行い、レポートはデータ(同上)またはコードにて返答されます。ASCII通信バスシステムとしてシリアルポート及びパラレルポートとして標準マルチパスが用いられています。外部I/Oとして入力9点と出力10点を有しています。
(8)内蔵プログラム機能・編集機能
E-ROMにより200ライン(1ライン=32キャラクタ)のプログラムが記憶可能。但し、連続ベクトルは16線分までが1単位となっています。円弧なら半径、スタート位相、移動角度、周速度、周加速度を1行で記述できます。

編集機能としてはラインエディタを有しており、E-ROMに記憶し直させることができます。またラベルやサブルーチンを使用でき、IF〜THENやJUMP機能も有してフレキシブルなプログラムが可能です。
(9)サーボ出力アンプ部
最大±100mAのドライブ電流を取り出すことができ、200Hzで最大±20mAの三角波デイザを加えることができます。またA/Bポートに設置したプレッシャヘッドの信号(0〜5V又は4〜20mA)や、3段型サーボバルブの3端子型LVDGをマイナーフィードバックとして用いることもオプションにて可能となっています。

お問い合わせは…
フォーム  メール  044−811−3421
[4]応用範囲と今後の展開

 現在まで位置決めXYテーブルはすべてといってよいほど、電動サーボ方式によって占められてきました。油圧式は重量物搬送等にリミットスイッチとドッグの組み合わせによる「あて止め」方式が多く用いられています。今や、マイクロエレクトロニクスの発展で、コントローラのコストは驚くほど低下しています。油圧源こそ必要だが制御に関する点では0.2Wのドライブ電力で何千トンもの負荷を位置・荷重制御してしまうハイドロパワーは、その優位性を生かしさえすれば多くの用途が拡大できます。

 21世紀の産業のニュートレンドと言われている宇宙航空、海中・海底、大深度地下開発、レジャー・アミューズメント、ホームオートメーション、シルバー関連、自動車の自動化、そしてますます進むFA、FMS、CIMといったすべての分野に応用できます。

 馬鹿力と繊細・微妙・精緻とが同時に成り立つこのシステムは、最近の油圧ハード面のノーリーク、低騒音、省エネ化、耐コンタミ性サーボバルブ等の進歩に助けられながら、人間生活とのより深い密接な関係を作り出していけると考えられます。

 かつて40年程も前、軽量発泡コンクリート建材の定寸切断の現場で、油圧式デジタルシリンダの定寸装置を設置した時の現場作業員の方々の「こんなに楽で便利な機械が!」との声は今も耳に残っています。情報化社会と言われ現在も、見たことも聞いたこともないから旧態依然とした方式に甘んじているといったケースが世の中には何と多いことでしょうか。

 かつて工作機械のNC化は油圧ステッピングモータにより幕が開けれたし、産業用ロボットも油圧ロボットが一世を風靡しました。ところが油圧サーボの制御性の悪さと、半導体技術の向上による電動モータドライバのソリッドステート化で、ここ最近では油圧の精密制御は産業機械から姿を消してしまいました。しかし現在ますます大型化する工場設備と自動化ラインはボールネジの限界も示しています。食い込みや部分的磨耗を起こさない油圧アクチュエータの再登場のチャンスです。フレキシブルラインで、多品種少量生産のワークが変わるたびにドッグの位置を修正している現場がまだまだたくさんあるのが現状です。

 油圧アクチュエータはアバウトな制御しかできない、という伝説を、3Kの生産現場の環境改善の課題の中でまずもって打ち破り、先に述べたような壮大な21世紀の展望へつなげてゆくモーメントに、現代制御理論と自由度の大きなデジタルコントローラときれいで強い油圧サーボアクチュエータとの組み合わせができるに違いありません。
KTパンフレット
油圧テーブルKTシリーズのパンフレット(PDF)


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KT 公開特許公報
特許1902197
流体式XYテーブル(PDF)


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