当社が事業化を進める油圧業界。
イメージは3K職場ですしIT産業などの華々しさもなく、重厚長大な産業が軒並み斜陽化している中でイメージは暗い。
しかし現代社会を支える技術として、今なおなくてはならない技術です。
パワーショベルやブルドーザなど建設機械、ブレーキをはじめ自動車、航空機や船舶の舵、最近ではスカイスリーの防振ダンパーでも油圧が使われています。変わったところでは関西空港のターミナルが地盤沈下防止のために油圧ジャッキすることで水平維持しているとか、新幹線の高速走行と乗り心地をよくするためにアクティブサスペンションが使われているなど、油圧の活躍の場はまだまだあります。みえないところでしっかり社会を支えています。
目に見える身近なところで活躍する油圧装置もあります。
それは駅のエレベータ。普段見るエレベータは巻き上げ機(電動モータ)でワイヤーを巻き上げたりしてカゴを動かしています。
エレベータは普通、一番上に巻き上げ機(機械室)を置き、一番下には落下した時に備えた緩衝装置が置かれます。しかし古くからある駅だとエレベータを新設するのにスペースがない場合や建物の強度の問題もあります。そこでモータを小型化し緩衝装置と共に底部に設置する例もあります(1・2番目の写真)。
しかし底部を深く掘ることができない等の理由で巻き上げ機の設置場所はおろか緩衝装置も設置できない場合どうするか。
そこで油圧が登場する場面があります。
上の写真ではカゴの横に油圧シリンダを設置し、シリンダ上部の動滑車にワイヤーを巻きつけカゴの滑車にひっかけることでカゴを上下させる方式です。もちろん電動モータなどはありません。これだと底部は掘り下げる必要もなく、動力は配管を通して別の場所から油圧を供給することができます。つまり省スペース。
さらにカゴを降ろす時は油圧弁を開放するだけでシリンダの中の油が抜けてるのでポンプを動かさずに降下させることもできそうです(実際にそうされているかは不明)。この方式だと省エネになりそうです。
もっともいいことずくめならもっと油圧式が普及しますが、作動油は燃えるので消防法の規制を受けるとか、メンテナンスをする人が油圧を知っていなければならないとかあるのでしょう。
ついに下のような薄型の巻き上げ機が登場しました。技術革新とはすごいものです。
今度、駅を歩く時にはぜひエレベータを気にしてみてください。
電動でできるところは電動で、油圧の方がメリット(省スペース、高馬力など)があるようなら油圧を使う。こういう使い分けが本来いいのです。工苑はその使い分けができる会社です。電気ばかりで油圧を知らない企業も増えていますから、世の中にはまれに電動にしてしまいうまく動かない事例も中にはあります。
油圧業界は華やかなところはないですが地道にやっていくぶんにはまだまだ仕事はあります。大儲けはできそうにありませんが、中小企業としてそこそこ経営していく分には充分な市場があります。
勘違いされては困りますが、当社は油圧“制御”を生業とします。油圧のことは経験や勉強しても油圧装置自体を製造することは難しい。
当社は上述のエレベータを例にとれば、エレベータのカゴを上げ下げしたりドアの開け閉め、緊急時の動作などの制御部分を行なうことが仕事になりますので、協力工場とタッグを組んでいくことが当社の得意分野である制御を生かせ、お客様のご期待に応えられることと考えています。
もちろん環境の変化はありますから、未来永劫、油圧ばかりということは考えていません。空圧や水圧もあります。
でも今は油圧制御の業務をメインでやっていきます。もともと電子制御をやってきて、それを生かした油圧のデジタル制御。その延長線上にあるものは何か。
次のチャンスがあれば果敢に挑戦することを忘れません。
またそのチャンスは社員ひとりひとりの中にあると信じています。